スマッシュさんの記事

スマッシュ様
素敵な記事どうもありがとうございます❣️
https://thedigestweb.com/tennis/detail/id=18695

以下、記事を引用させていただきました。

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ベースラインを超えていくボールが勝敗を決した時、
ダニエル太郎は鋭く叫び声をあげ、
清水悠太は両手を振り下ろし身体を折ってうなだれた。

ランキングポイントが付くわけではない。
勝敗が公式戦のレコードブックに残るわけでもない。
それでも、決勝戦での勝者と敗者のコントラストは、
この試合や大会そのものが選手の中で帯びた価値を、明瞭に浮かび上がらせていた。

「普段のツアーと変わらないくらい……もしかしたら、
 いつもより気持ちが入っていたかもしれないです」
清水は決勝後の会見で、マスク越しにもわかる強い思いを言葉に乗せた。

「新型コロナウイルスの影響で皆さんが会場に来られなかったり、
でも来られないにも関わらず支援してくださったり。
スタッフの皆さんが一生懸命がんばって、選手が
安心してプレーできるようにしてくれているのも見えていたので」

「いつもより気持ちが入っていた」の背景にあるものは、
大会を支えてくれた人々にプレーで応えたいという謝意と使命感。
この大会が、選手に真剣勝負の場を与えたいという関係者たちの純粋な情熱から
始まったことも、そして観戦を楽しみにするファンたちの
クラウドファンディングで成り立っていることも、清水はよく知っている。

そしてだからこそ、多くの人によって築かれたこのステージで、
ツアー中断中に練習してきた成果を、上位選手にぶつけたいという
チャレンジ精神にも一層熱がこもっていた。
そのような清水の闘志を、ダニエルも全身で受け止めた。

彼は勝利の瞬間の歓喜の成分を、
「パズルを終わらせた時のような、ほっとした気持ち」だと表現している。

「悠太はレフティーだしトリッキーな選手で、身長(163cm)のわりにサービスもすごく良い。
少しでもボールが浅くなるとフォアでウイナーを狙ってくるのでプレッシャーもすごい。
タクティクス(戦術)的にも苦労したので、そこをなんとか解けた自分を誇りに思ったうれしさでした」
ダニエルは清水の実力を、そのように評した。

サービスの向上は、今大会で清水自身も感じられた、一番の成長点だったという。
ダニエルからの評価を伝え聞くと、
「サービスが良くなって3球目で攻められるようになったので、
それが攻撃的に見える理由ですかね……」とはにかみながらも、
先輩からの評価をうれしく感じている様子だった。

 同時に、ダニエルにラウンドロビンと合わせ2敗を喫した事実を、
真摯に受け止め糧とする。
「1大会に2回も負けたら、実力差と認めざるを得ない。また練習して、臨むのみです」

優勝したダニエルにしてみても、切り返しのランニングショットやサービスなど、
ツアー中断中に重点的に磨きをかけたプレーが発揮できたことは、大きな喜びだったという。
ホテルに宿泊し、制約のある中で過ごす緊張感。試合の中で、
自分のミスや相手からのプレッシャー、そして審判のジャッジに覚える苛立ち…、
それら忘れかけていた大会特有の空気を思い出せたことも、
8月に再開されるツアーへの格好の準備となった。

「たくさん緊張しストレスもたまり、筋肉痛もすごい。色んな意味で充実した3日間でした」
 優勝賞金やトロフィーと共に、多くの収穫をビーンズドームから持ち帰った。

内田暁

 

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